想田和弘監督作品・観察映画第3弾・第4弾

演劇1 演劇2

Director's Note 想田和弘監督から
Review 内田樹さんによる映画評
珠玉の合計5時間42分!大長編ドキュメンタリー2部作、4年の歳月と300時間以上の映像素材を経て、ついに完成。想田和弘監督(『選挙』『精神』『Peace』)が迫る平田オリザと青年団、そして現代社会!!!!!!!!!

演劇1

芸術とは何か?
日本の演劇界を永久に変えた、平田芸術の理論と実践。
その神髄にカメラが迫る!


日本を代表する劇作家で演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇団・青年団。『演劇1』は、その創作現場にカメラを向け「平田オリザの世界」を徹底解剖する。台詞や動きがあまりに複雑かつ自然な平田作品を、即興の産物であると勘違いする観客もいる。しかし、台詞はすべて平田によって戯曲に書き込まれ、俳優の動きや仕草は細心の注意を払って練り上げられたものである。したがって、稽古場は修羅場と化す。現実世界を原寸大で再現した、精密モデルのような超リアルな舞台の裏では、極めて不自然で徹底的な操作が行われているのだ。「“本当の自分”などない。人間とは“演じる生き物”であり、あるのはペルソナだけだ」と平田は喝破する。想田和弘監督は、戯曲の執筆、稽古、照明、美術、劇団運営の実際など、あらゆる活動に密着し、その哲学や方法論、組織論を描き出す。同時に、人類誕生以来、太古の昔から続いてきた「演劇」という営みに挑むのだ。

演劇1

演劇は21世紀を生き残れるのか?
演劇とお金、政治、教育、ロボット、国際化。
そこから垣間見える現代社会!


演劇とは、コストも時間もかかる超アナログな芸術である。逃れがたく経済が付き纏う。青年団の事務所には『三文オペラ』の文句が掛けられている。「まず食うこと それから道徳」。しかし、不況と財政難で公的な芸術関連予算は縮小傾向に。この逆境に対する平田の戦略は、シンプルかつ遠大なものだった。「演劇が社会にとって必要不可欠である事」を世間に納得してもらおうというのだ。平田は文字通り東奔西走する。教育現場や地方の演劇祭、果てはメンタルヘルスケア大会まで、その知識とノウハウを伝えていく。政治家への働きかけも積極的だ。他方で、海外進出やキラーコンテンツとしての「ロボット演劇」など、助成金に頼らない劇団経営を模索する。『演劇1』が「平田オリザの世界」ならば、『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。それは、演劇という芸術を通して、高度に資本主義化された現代社会を問い直す試みでもある。

『演劇1』『演劇2』に登場する主な演目

『ヤルタ会談』/『冒険王』/『サンタクロース会議』/『火宅か修羅か』
『東京ノート』/『働く私』/『砂と兵隊』/『森の奥』/『隣にいても一人』広島編